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【シリーズエッセイ(全9回)】意味・意識・AI・人間ーAI時代にマインドフルネスが必要な理由ー

はじめに:AIとは何か?

私たちは今、AI(人工知能)とともに生きる時代にいます。AIとは、人間のように見える「賢いふるまい」を、コンピュータによって再現しようとする技術です。

近年、ChatGPTをはじめとする対話型AIが急速に普及しました。これらのAIは、大量の言葉のデータを学習し、与えられた問いに対して「それらしく見える答え」を予測して返す仕組みを持っています。

この技術は「大規模言語モデル」と呼ばれ、教育、医療、ビジネス、創作活動に至るまで、さまざまな分野で活用されています。

しかし、こうしたAIは本当に「意味」を理解しているのでしょうか?人間が「考える」「わかる」と感じるときと、AIのふるまいの間には、どのような違いがあるのでしょうか?

AIは、大量のデータからパターンを学び、それをもとに予測することには長けています。ですが、意味を理解するという行為は、単なるパターン予測とは異なる、もっと繊細で、かつ流動的な営みです。

本シリーズでは、

「意味とは何か」

「伝えるとはどういうことか」

「人間の意識とAIの違い」

といったテーマを、情報理論や現代の認知科学の視点から、わかりやすく探求していきます。そして、なぜこの時代に「マインドフルネス」が重要なのか、その根本的な意味についても考えていきます。

第1回:意味ってなんだろう? ー「伝わる」とはどういうことか

私たちは日々、さまざまな「情報」に囲まれて暮らしています。

天気予報、ニュース、SNS、ビジネスの会話――

情報は、私たちの生活のあらゆる場面に存在しています。

 

たとえば、「今日の天気は晴れです」という言葉も情報ですし、

「こんにちは」というあいさつもまた情報のひとつです。

 

しかし、ここで大切なことがあります。

それは、情報が存在することと、意味が伝わることは別の出来事だということです。

 

たとえば、会議で丁寧に説明したのに、後になって「まったく意図が伝わっていなかった」と気づくことはないでしょうか。

このようなすれ違いは、単なる説明不足によるものではありません。

 

意味が伝わるとは、単に言葉を聞いてもらうことではありません。

相手がその情報を、自分自身の経験や価値観と結びつけ、自分の中で再現できたときにはじめて意味は成立します。

 

つまり、意味とは送り手が一方的に与えるものではなく、

受け手の中で再構築されるプロセスの中で立ち上がるものなのです。

 

この観点に立つと、「情報を正確に届けること」以上に重要なことが見えてきます。

 

それは、相手がどのように物事を見ているかを知ろうとすることです。

 

私たちはしばしば、自分が知っていること、自分が正しいと信じることを、

そのまま相手に伝えれば理解されるはずだと考えがちです。

 

しかし、相手は異なる経験、異なる文化、異なる背景を持っています。

同じ言葉でも、受け取る意味は人によって大きく異なるのです。

 

だからこそ、伝えるためには、

 

  • 相手がどのような知識や経験を持っているのか
  • どのような価値観のもとで物事を理解しているのか

 

を想像しながら言葉を選び、伝える工夫が必要になります。

 

言葉を届けるとは、単なるデータの転送ではありません。

互いの世界をつなぎ直す試みなのです。

 

そして、そのためには、相手の見方に寄り添うこと、

相手の中で意味が立ち上がる道筋を探ろうとすることが、何より大切になってきます。

 

次回予告

次回(第2回)では、情報理論の創始者クロード・シャノンの考えを手がかりに、

「情報とは何か?」そして「意味とノイズの関係とは何か?」を掘り下げていきます。

ぜひ引き続きご覧ください!

第2回:情報処理理論ってなんだろう? ー 意味とノイズの仕組み

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