第8回:リーダーシップとは何か?ー 混沌を保ち、構造を育てる力
【シリーズエッセイ(全9回)】意味・意識・AI・人間ーAI時代にマインドフルネスが必要な理由ー
これまで、AIと人間の違いについて、
「もやもやを保ち、意味を育てる力」の視点から考えてきました。
今回は、そこからさらに踏み込んで、
リーダーシップとは何かについて考えていきます。
現代社会において、リーダーシップはますます複雑な意味を持つようになっています。
かつては、
- 
明確なビジョンを示す
 - 
迅速に判断を下す
 - 
力強く組織を導く
 
といったスタイルが、リーダーの理想像とされることが多くありました。
しかし、今日の社会や組織は、
- 
価値観が多様で
 - 
問題の正解がひとつではなく
 - 
「そもそも何が問題か」すら明確でない
 
そんな**混沌(カオス)**のなかにあります。
こうした環境では、単に速く答えを出すだけでは、
本当の意味で人や組織を導くことはできません。
では、リーダーに本当に求められる力とは何か?
それは、
混沌を保ち、構造を育てる力
だと私は考えます。
たとえば、チームのなかで意見がバラバラになったとき、
リーダーは「早くまとめる」ことを目指すのではなく、
いったんそのバラバラな声を受けとめ、
背景にある違いや共通点をじっくり見つめる必要があります。
すぐに白黒をつけず、
- 
どのような前提があり
 - 
どのような価値観が交差しているのか
 
を丁寧に観察し、そこから新しい共通理解の芽を育てていく。
これこそが、現代に求められるリーダーシップの本質です。
このプロセスは、すぐに結果が見えるものではありません。
むしろ、しばらくのあいだ、
- 
意見が交錯し
 - 
不安が渦巻き
 - 
ゴールが見えない状態
 
に耐えることが求められます。
しかし、この混沌を保持する力がなければ、
表面的に「まとめたふり」をしても、
組織の深いレベルでの変化や成長は生まれません。
ここで、マインドフルネスが大きな助けになります。
マインドフルネスとは、
- 
判断を急がず、
 - 
今起きていることをただ観察し、
 - 
ありのままに気づき続ける態度
 
です。
マインドフルネスの実践によって、
私たちは混沌に対する不安や焦りを和らげ、
意味がまだ立ち上がっていない状態に耐える力を養うことができます。
これは、単なるストレス耐性ではありません。
新しい構造(共通理解や価値観)を育てるための、静かな土壌作りなのです。
リーダーシップとは、
- 
意味を押し付けることではなく、
 - 
意味が立ち上がるまでの空白を守り、
 - 
その中で新たな秩序を育んでいくこと。
 
混沌の中にとどまり続ける力こそが、
未来のリーダーに求められる、最も根源的な資質なのかもしれません。
次回(第9回・最終回)では、
この「意味を育てる力」をもとに、
AI時代におけるリーダーシップの未来像についてまとめていきます。
ぜひ最後までお付き合いください!

				
							
							
							
							
							
							
この記事へのコメントはありません。