ここで言う「エゴ」とは、単なる自己中心的な欲求や自己愛だけを指すのではなく、もっと広い意味で使っています。エゴとは、自分と他者を区別し、自分の利益や地位を最優先に考える思考の枠組みを指します。このエゴが強く働くと、他者の意見や社会全体の利益よりも、自己の欲求や立場を守ろうとする傾向が強くなります。

私たちは日常的に無意識のうちにエゴに影響されており、組織内ではそれが特に顕著に現れることが多いです。リーダーの立場にある人々が、自己の権力や報酬を維持するために判断を下すとき、その決定が全体の利益よりも自己の利益を優先してしまうことがあるのです。このような「エゴ主導」の構造が、組織を硬直させたり、個人や集団の成長を妨げたりする原因となることがあるのです。

エゴが強く働く環境において、私たちはしばしば自己中心的に動くことが多いですが、真の変革をもたらすためには、自己と他者の境界を超えた意識の変化が必要だと感じています。自己中心的な考えから抜け出し、「自分」という枠組みを広げ、他者との繋がりを深く認識することで、個人としても組織としても、より調和のとれた社会を創造できるはずだと思っています。

ここで鍵となるのが、マインドフルネスです。マインドフルネスは「今、この瞬間に意識を集中させ、自己の思考や感情を客観的に捉える」という実践です。これにより、無意識的に動いていた感情やエゴに気づき、それをコントロールする力が養われます。自分と他者の違いにとらわれることなく、全体的な調和と共感を大切にする意識を育むことができます。

私はこの理念を社会に広めることが、現代社会のエゴ主義的な構造を変える鍵だと信じています。マインドフルネスを通じて、個人が自己中心的なエゴに縛られることなく、より健全で調和の取れた関係を築ける社会を実現したいと考えています。

そうは言っても、組織内で権力や報酬を求めることは、多くの人が避けられない部分でもあります。現代の社会システムは、評価制度や報酬システムが「競争」を前提に設計されているため、無意識に私たちは自己の地位や成果を優先することが求められます。このようなシステムは、エゴを強化する役割を果たし、私たちが自己中心的に動かざるを得ない状況を作り出しています。

また、既得権益を持つ人々は、エゴを手放すことで損をするのではないかという感覚を持ちやすいでしょう。長年にわたって築き上げてきた立場や利益を維持するために、自分のエゴを手放すことは「自分が不利になる」と感じられることが少なくありません。しかし、実際にはエゴを手放し、他者との協力や調和を重視することで、長期的にはより持続可能で健全な社会を築けるということ、自分自身もその社会に属していることを理解することが重要です。

エゴ主導の社会構造において、変革は容易ではなく、特に既得権益者にとってはその変化に対する抵抗も強いでしょう。しかし、この問題を解決するためには、全ての人が意識的に自分のエゴに気づき、変革の必要性を認識することが不可欠です。個々のエゴが一斉に変わることはすぐには難しいかもしれませんが、意識の変革が少しずつ広がれば、社会全体にポジティブな影響を与えることができると私は信じています。

これらの考えを背景に、私は以前の社会の枠組みを離れ、マインドフルネスの普及活動に身を投じる決意をしました。私はこの活動を通じて、個人が自己中心的なエゴに縛られることなく、より健全で調和の取れた関係を築ける社会を実現したいと考えています。マインドフルネスは単なる個人の内面的な成長だけでなく、組織や社会全体に対しても深い影響を与える可能性を秘めています。

マインドフルネスの普及によって、人々が意識的に自分自身と向き合い、他者と協力する意識を育むことができれば、エゴに基づく権力構造にとらわれることなく、より公平で共感的な社会を実現することができるでしょう。